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2021年度 リレー日記

行儀よくまじめなんて

投稿日時:2021/08/20(金) 01:02

「慮る」と書いてなんと読むかわかりますか?これは、配慮や考慮の慮の訓読みで、「おもんぱかる」と読みます。思いやるとか気遣うといった意味で、「おもいはかる」が変化してこの発音になったようです。「先方の事情を慮る」のように使われます。先日これをクイズ番組かなにかで見かけて、小学生のときのあるエピソードを思い出しました。 

小学校5年生の時、担任の先生がクラスのみんなに「0655」という番組をオススメしていました。名前の通り朝6時55分からやっているNHKの教育番組で、今もおそらくEテレでやっていると思います。子どもだけでなく親世代や社会人が見ても楽しめるような番組で、ちょっとした雑学を教えてくれたり、元気が出る曲を流してくれたりします。たった5分の番組ですが、忙しい朝にちょうどいい、ほっこりする番組です。 それまで僕は毎朝7時に起きていましたが、この番組を見るために5分だけ早起きするようになりました。

その中に「これを知ってるといばれるの唄」というコーナーがありました。普通に覚えるには難しい言葉や、多くの人が勘違いしていることを歌にして覚えやすくするというもので、内容はかなりレベルが高く、この歌を覚えると大人でも役に立つ知識が身につき、ふとした会話の中で自慢したり、いばったりすることができます。この歌にはいくつかシリーズがあるのですが、僕が小5の時にやっていたのが「難読漢字編」でした。読み方の難しい漢字が映像で流れ、その読みが歌になっています。漢字の例としては、「逼迫(ひっぱく)する」や「杜撰(ずさん)」などです。小学生の時分には読みどころかその言葉自体を聞いたこともないので、はじめはちんぷんかんぷんでした。それでも、この番組は一定期間、同じコーナーを毎週曜日ごとにやっているので、火曜日にこの歌がやっていたとしたら、毎週火曜日にこの番組を見れば一週間ごとにこの歌が聞けて、だんだんとその難しい漢字たちの読み方がぼんやりと頭に入ってくるのです。ただ、別にこの難しい漢字を覚えてやろうと思って積極的に見ていたわけではなく、まあ5分だけだから見ておくかというような感じだったと思います。

そうしてしばらく経って、ある日担任の先生が、漢字の練習か何かの時間に、黒板に「慮る」と書いて、「これ誰か読めますか?」とクラスのみんなに問いました。なんの文脈もない、突然の質問だったので、クラス全体がキョトンとしていました。そんな中僕は「おもんぱかる」と呟きました。僕は1番前の席だったのでそれを聞いた先生が「そう、正解。」と言いました。自分でもなぜ自分がこの漢字を読めるのかわからないくらいでしたが、クラスのみんなが「すげー!」「なんで読めるのー!?」と盛り上がるので、嬉しくなりました。やっぱり小学生のときはクラスで1番になったり目立ったりしたら嬉しいですよね。でも、そんな賞賛を浴びながら、僕は少しずつ理解していきました。まず、あの漢字を自分が読めたのは、「0655」という番組を毎朝見ているからで、あの歌の中に「慮る」もあったということ。それを見るように勧めたのはあの質問をした先生自身だということ。つまり、先生は自分が勧めた番組をちゃんと見ている人がいるか確かめようとしたのです。それがどうやらクラスでは僕ぐらいしかいなかったようです。

そのことに気づいた時、なんだか素直に喜べないような、もやもやした気持ちになったのを覚えています。クラスのみんなは、白石くんはあんな難しい漢字もわかるんだなあ、頭いいなあなんて思ったでしょうが、実際は、ただ先生が言ったことに素直に従っただけ、まじめだっただけ。そこにはほとんど違いはないのかもしれないけれど、当時はそれが自分の中で大きな違いのように思えました。

確かに子どもの頃は、周りの大人の言うことに従うことが正しかったし、先生に言われたことを真面目にやれる子が頭のいい子でした。僕はその「頭のいい子」だった。それを自分でもわかっていたけれど、そうやって生きるのが楽だった。でもやっぱり歳を重ねるにつれて、、、、ダメだ

なんかうまいこと言おうとしましたが思ってもないことを書きそうだったのでやめます。

次は同期の田中くんに回したいと思います。彼の家にはまた自転車が1台増えたようですが、そんなお金があるならエアコンを直した方がいいんじゃないかと思いました。



 

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